FA関係の仕事をしておりますので、よく三菱製のPLC、いわゆるシーケンサを使っています。
こういう産業機器は工場という劣悪な環境に置かれるため、非常にしっかりしています。
そのおかげもあって(?)消費者が簡単に手を出せないくらい価格が非常に高いです。
いや、普通の人はそんなものを求めないですけどね?
高い信頼性はあまり求めないから互換機はないかなと、探していると...なんと売っているという。
そんなシーケンサの怪しい互換機を試しに使ってみました。
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目次
売っているシーケンサの互換品
互換シーケンサはAliexpressなどの中華系通販サイトでたくさん売られています。
見つけた機種は主に、FX1NやFX2N、FX3Uといったシリーズです。
FX1NやFX2Nというモデルは生産中止になった1世代も2世代も古いものですが、簡単なシーケンス制御をするのであればまったく問題ありません。
FX3Uは現行機種ですが、比較的IO点数が多い機種です。
はたしてそこまで使う用途が工場以外であるのか少し疑問です。
FX1NやFX2Nシリーズ
シーケンサの互換品はAliexpressで「FX1N」や「FX2N」、「WS2N」で探すと出てきます。
最後のWS2NというAmazonでもかなり引っかかります。
まあほとんどのラインアップは日本に在庫がなさそうなのでAliexpressで買ったほうが良さそうですけどね。
上のリンクは入力6点出力(トランジスタ:シンク)4点のFX1N-10MTの互換品です。
DINレールに取り付けられるようになっているようで、結構しっかりしています。
本家よりだいぶサイズが小さいです。ここは本家よりいい面かもしれません。
ちなみにトランジスタ出力ではなくリレー出力がよければFX1N-10MRみたいに末尾のTをRに変えて検索すれば出てくるでしょう。
FX3Uシリーズ
廃番機種の互換品ばかり売っているのかと思いきや、現行機種の互換品も売っています。
FX3U-14MRが一番少ないIO点数でしょうか。
軽く探した感じですと、56点くらいまでならありそうです。
最初からアナログ入力が6点、アナログ出力が2点ついてたりして、本家より高機能ですね...
精度とかはわからないですけど。
FX1N-10MTを試しに使ってみる
私はこのなかで無難そうなFX1N-10MTを買ってみました。
デバイス
仕様に書かれていた使えるデバイスを以下に列挙します。
補助リレー | 一般用 | M0-M383 |
キープ用 | M384-M1535 | |
特殊用 | M8000-M8255 | |
ステート | キープ用 | S0-S999 |
タイマ | 100ms | T0-T199 |
10ms | T200-T245 | |
1ms積算形(キープ) | T246-T249 | |
100ms積算形(キープ) | T250-255 | |
カウンタ | 16ビットアップ(一般用) | C0-C15 |
16ビットアップ(キープ) | C16-199 | |
高速カウンタ(キープ) | C200-C255 | |
データレジスタ | 16ビット一般用 | D0-D127 |
16ビットキープ用 | D128-D5029 | |
16bit特殊(AD)*仕様による | D5000 | |
16bit特殊(DA)*仕様による | D5010 |
ほぼ純正品と同レベルですね。
申し分ないくらいのデバイスが使えます。
キープ領域は電気二重層コンデンサ(0.22F)でデータを保持しているようです。
また、あとで述べますが標準でアナログ入力が使えるようになっているのはかなり魅力ではないでしょうか。
ただ、購入元によってはDAが使えず、もう1つのADだったり仕様がまちまちのようです。
買ったものは0-10Vのアナログ電圧入力と0-3.3Vのアナログ電圧出力になっています。
使える機能
書き込み・読み出し
これができないと話にならないですが、結構遅いです。
現行機種に慣れてしまっているのでより遅く感じます。
FX1Nとか2Nの書き込みってこんな遅かったっけ?ってくらいにはゆっくりです。
「プログラム+パラメータ」で1分弱かかりました。
読み出しは最悪できなくてもプログラムは動きますが、このあたりを実装しているのはありがたいことです。
通信は普通のUSBシリアル変換器で出来ます。
認識も特に問題ないです。
純正のソフトである GX Works2 が普通に使えます。
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通信用のコネクタは4ピンのXHコネクタで、IOレベルは3.3Vのようです。
接続用のアダプタを自作してみました。
モニタ
なんとモニタも問題なく使えます。
タイマの100msで動くカウントも止まることなくスムーズに表示してくれているので、問題なさそうに見えます。
かなりステップ数の少ないテスト用のプログラムなのでちゃんと動いているだけかもしれませんが...
アナログ入出力(未確認)
今回買った機種にはアナログ入出力が1CHずつ標準で搭載されているように見えましたが、どうも対応してないようです。
実験的に電圧を印加してもD5000は常に0で、動く気配すらありませんでした。
問題がある・使えない機能
特殊デバイス
特殊デバイスは一部使えますが、あまり実装されていません。
補助リレー(M8000~)はM8000(RUNモニタA)やM8013(1secクロック)などは正常に使えました。
ただし、データレジスタ(D8000~)のデータはどれも0で変化がないので使えないようです。
リアルタイムクロック・時計設定
リアルタイムクロックは搭載されていません。
時計設定をしようとしたらエラーが出ました。
特殊デバイスを見てみても常に値が0でした。
せっかく停電保持用の電気二重層コンデンサがあるのにもったいない気がします。
デバイス/バッファメモリ一括モニタ
通常のモニタは使えますが、デバイスの一括モニタは難しいようです。
デバイスを監視したい場合はウォッチ機能を使いましょう、こちらは使えます。
RUN中書き込み
RUN中書き込みは使えません。
しようとすると応答がなくなります。
ずっとグルグル状態という感じで通信もしなくなります。
PLCはシーケンス制御が簡単に実装できます。
普通のマイコンを使うより、複雑なデータ処理をしないのであれば制御は簡単ですし、なにより入出力部分が強化されていますので、家での自動化も簡単に構築できます。
通信機能がないので今時のIoT的なことはできないですけどね。
一番の懸念事項である価格がクリアできたなら採用の候補に入るデバイスでしたので、個人的には大きな発見となりました。
互換品なのであくまで自己責任で使うべきですし、工場に導入するのもどうなのかなとは思います。
IoTとかいって普通のマイコンとかArduinoをそのまま使うよりはマシですけどね。
最低限の機能は紹介できたと思いますが、調査できていない部分が多いです。
未調査の部分は今後随時更新しようと思います。
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