KiCad 9.0 の気になった新機能

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KiCad 9.0 がリリースされました。
1年に1回はメジャーバージョンがリリースされるKiCadすごくないですか?

どんどん機能が追加されるのでどこかにメモをしておかないと忘れてしまいます。
9.0で追加された新しい機能の他に、実は以前からある便利な機能を紹介したいと思います。

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デザインブロック

待望していたデザインブロック、EAGLEをメインで使っていた時代には便利だったので待ちに待った実装です。
現在は回路図のみですが、将来的には基板設計にも実装され紐づけられる予定のようです。
今後にも期待できる機能ですね。

よく使う電源回路などをよく登録して呼び出すと効率的に設計できますね。
まだ作りたての機能という感じで、使いづらさは否めないですが...
とりあえずデザインブロックの編集画面がほしいです。

マウスホイールアクション

回路エディタのピン番号やラベル、基板エディタのパッド番号をマウスホイールで簡単に(?)変更できるようです。
たとえば、「B2」でという名前のラベルやパッドがあって、Shift+Alt+スクロールで、「B1」または「B3」に変更し、Ctrl+Alt+スクロールすると、「A2」または「C2」に変更できます。
これは難しいですね...使わないと忘れそうです。

回路エディタやシンボルエディタでのフィルター選択

基板エディタやフットプリントエディタには以前からあったフィルター選択が回路エディタやシンボルエディタにも実装されました。
なぜ回路エディタにはないのかずっと不思議でした。
シンボルやラベル、ワイヤーなどに限定して範囲選択したい場合に使えます。

形状の変更:「ヌスミ」

「形状の変更」メニューにフィレットや面取りの他にヌスミ(ドッグボーンコーナー)が追加されました。
ヌスミは他の部品を角にはめ込む場合にコーナーが干渉しないように逃がしをつける形状です。

逃がし形状
確かに自分で描くのはちょっと面倒な形なので、自動化は助かります。
ヌスミは英語では Dog Bone (犬用のおもちゃの骨)というみたいですね、勉強になりました。

形状のアウトセット作成

そんな機能を使うところなんて...あります!
私が思いつくのは、複雑なスリットの作成です。

スリットはEdge.Cutsレイヤーに書くのですが外周を描く必要があります。
直線なら長方形を描いて角を丸めるくらいでいけますが、クネクネしてくるとこれが面倒なんですよ...
アウトセットを作成できるなら線を書くだけであとは太さはアウトセットの幅を指定するだけで複雑な外形を簡単に描けます。
線を引くだけで複雑な外周を描ける

そもそもEAGLEのMillingレイヤーみたいに、線を引いただけでその外周を加工してくれるレイヤーがあればいいのですが...

ゾーンのコーナーの面取り

ゾーンの面取りは「角を作成」して面取りしていましたが、ゾーンを右クリックしたときに「面取りした角」という項目が追加されています。
これをクリックするとノードが追加されるとともに45度で面取りされます。
地味に便利な機能です。

さらに求めるとするとノードの複数選択ができると、なお嬉しいです。

選択したパターン等の合計の長さの表示

等長配線などで重要になってくるパターンの長さの測定が簡単になりました。
今まではプラグインでやっていましたが不要になりそうです。
選択したパターンの合計長さ

矩形(四角形)の中心点を選択できるようになった

アップデート情報には書かれていなかったですが、たぶん実装されています。
矩形の中心点
円では中心点がありましたが、四角形でも中心を掴めるのは助かります。
今はそんなに便利な実感はないですが、無意識に使ってそうです。

おまけ:以前からある覚えておきたいKiCadの便利機能

バージョンアップで便利な機能は増えていきますが、実は以前からあった便利な機能も忘れずに覚えておきたいです。
使う頻度が低いと忘れてしまいますから、その覚え書きです。

形状の変更(フィレットや面取り)

これはよく使うので書く必要はないですが...
基板エディタでの角の形状変更は便利な機能があって、フィレットや面取りを寸法を指定するだけで自動でしてくれます。

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新機能で紹介したドッグボーンコーナーが含まれている「形状の変更」というメニューにフィレットや面取りがあります。

 

ラベルの末尾に数字がある場合に自動的に繰り返す

忘れがちなのがこの機能。
回路エディタでラベルに LABEL1, LABEL2, LABEL3, ... みたいな感じで連番にしたいときがありますよね。
直打ちでもいいですが、その機能が実はあります。

デフォルトではInsertキーに割り当てられている、「最後のアイテムを繰り返し」という機能がそれにあたります。
「繰り返し」なのにラベルではなぜか末尾の数字をインクリメントしてくれます。

ゾーンを切り抜く

一度ゾーンを作ってから角を作成して変形するのは結構面倒です。
そこでよく使うのが切り取って形状を変形する方法です。
ゾーンの切り抜きを追加
ゾーンを右クリックして[ゾーン]→[ゾーンの切り抜きを追加]というのがその機能です。
ついつい忘れて[角を作成]でゴリ押ししてしまうんですよね...

複雑形状のゾーンやルールエリアを作る

通常の[ゾーンの描画]や[ルールエリアの描画]では直線に限定されます。(たぶん)
曲線で構成されていたり円などは直接描画できません。
そこでまずは導体レイヤーに外形を作ってそれをゾーンやルールエリアに変換する方法を取ります。
選択対象から作成
描いた外形を選択して右クリックメニューの[選択対象から作成]を選ぶと変換できます。


他にも色々ありますので一度アップデート情報を見てみてください。
ビアやスルーホールの色がなんか変わりましたね。
文句を言っている人もいるみたいです。

あとはスナップの仕方が変わったような気がします。
ちょっと使いづらい感じもあるのですが、勘違いか設定次第かもしれません。
破壊的な変更はできれば最初は設定できるようにしてくれるとありがたいんですけどね...

KiCad 9.0 の気になった新機能

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